仙台管区気象台長からのメッセージ
仙台管区気象台長 鎌谷紀子 年始のご挨拶です
仙台管区気象台長の鎌谷紀子です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和8年は仙台管区気象台が創立100周年を迎える年ということもあり、年の始めにご挨拶させていただきたいと思います。
まず、昨年を振り返りますと、1月の始めに青森県を中心とした大雪があり、その後、太平洋側を中心に少雨となって、2月から3月にかけては岩手県大船渡市で林野火災が発生しました。8月下旬から9月上旬にかけては、秋田県を中心に大雨となりました。
また、地震・津波では、7月に発生したカムチャツカ半島東方沖を震源とするマグニチュード8.8の地震で、岩手県久慈港で141cmの津波を観測するなど、東北地方も含め、日本の広い範囲で津波を観測しました。
さらに、12月には青森県東方沖を震源とする地震が発生し、青森県八戸市で最大震度の6強を観測し、津波警報を発表するとともに、令和4年の運用開始以降初めて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。
東北管内の気象台におきましては、これらの事象に対して適時、防災気象情報の発表等を行ってまいりました。今後も、関係機関の皆様とさせていただいた振り返りや意見交換を踏まえ、防災気象情報がより的確に活用いただけるよう、努めてまいります。
さて、仙台管区気象台は、大正15年(1926年)10月1日に宮城県立石巻測候所仙台出張所として発足してから、今年の10月1日で100周年を迎えます。これまで先人が長年かけて発展させ、責務を果たしてきた気象事業に思いをいたし、新しい年の新たな目標と計画をもって、先人たちに恥じぬよう管内の任務遂行に一致協力して取り組んでまいります。
本日は、皆様に特にお伝えしたい事として2点、お話しさせていただきます。
1点目は地震への備えについてです。
先ほどお話させていただいたように、昨年12月に、初めて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表いたしました。東北地方では、青森県から福島県にかけての、防災対応をとるべき地域の方々に、すぐに逃げられる態勢の維持や非常持ち出し品の常時携帯など、特別な備えをしていただきますよう、内閣府とともに呼びかけをいたしました。大きな混乱もなく落ち着いて対応いただけたと思っておりますが、その背景としては、報道機関をはじめ関係機関の皆様が、この情報の正確な内容と、とるべき防災対応について、適切に丁寧にお伝えいただいたということが大きかったと考えております。改めて、感謝申し上げます。
昨年12月16日に、後発地震に特に注意すべき1週間は終わりましたが、世界の過去事例を見ると、事例数としては少ないですが、モーメントマグニチュード7.0以上の地震発生から1週間以上経過した後に大規模な地震が発生したこともあります。大地震が発生する可能性がなくなったわけではない、ということです。また、後発地震注意情報の発表がないまま、いきなり大地震が発生するという確率の方が高いので、引き続き、日頃からの備えをよろしくお願いいたします。
この情報については、やっと皆様に名前を認識していただいたところ、と思っております。気象台といたしましては、地域住民の皆様に、この情報はどのようなもので、発表された場合はどのような行動をとるべきかをご理解いただけるよう、引き続き広報活動の取り組みを進めていく必要があると考えております。
その一環として、宮城県、札幌管区気象台との共催により、この情報の話題も含めました防災気象講演会を、2月10日に開催いたします。テーマは、「3.11東日本大震災から15年 ~来るべき巨大地震に我々はどう備えるか~」です。この講演会では、震災の語り部の方、地震・津波の専門家、国の防災政策に携わる方を講演者としてお迎えします。東日本大震災を振り返るとともに、千島海溝地震、日本海溝地震への備えを考える機会としていただければ幸いです。東北地方の方々は、もうあんなことは起こらないだろう、起きないでほしいというお気持ちだと思いますが、再び大地震・大津波に見舞われる可能性もあるということを知っていただき、備えていただきたいと思いますので、ぜひ多くのみなさまに、この防災気象講演会にご参加いただきたいと思います。
2点目は、今年の大雨シーズン前に予定している防災気象情報の改善についてです。
昨年12月、臨時国会において「気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案」が可決成立いたしました。これを受けて、本年5月下旬頃から、新たな情報体系で防災気象情報を発表していくこととなりました。
現在は警戒レベルに該当するものがなかったり、名称が統一されていなかったりしています。
これを、5段階の警戒レベルに対応させたものに整えて、運用していくこととしています。このため、氾濫特別警報を新設したり、警戒レベル4相当の危険警報を新設したりするなど、大きな変更があります。レベルの数字が情報名に付くようになりますので、住民の皆様がとるべき行動との対応は分かりやすくなるものと期待しています。一方で、あと半年後には、住民の皆様に、この情報体系が変わることを知っていただいて、かつ、中身も知っていただかないといけませんし、全市町村長の皆様が、この情報を受けて適時的確に避難指示を行っていただけるようにしなければならないことを考えると、気象台としては、今後の広報活動に、これまで以上に注力しなければいけない、と気を引き締めているところです。リーフレットなどの広報コンテンツを作成・配布するほか、ホームページやSNSを通じた情報発信など、様々なツールを用いて広報活動を展開することを予定しています。皆様方報道機関をはじめとする、関係機関の方々との連携も必要不可欠と考えておりますので、引き続き、ご協力をよろしくお願いいたします。
最後に、仙台管区気象台は、これからも適時的確な防災気象情報の提供に努め、東北地方の地域防災を支える役割を果たしてまいります。地域住民の皆様につきましては、本年も、日頃からの備えを進めていただくとともに、気象台の最新情報や、地元自治体からの避難情報等に耳を傾けていただきますようお願いいたします。
また、繰り返しになりますが、気象台の発表する情報が正しく活用され、地域住民の方々の防災行動に適切につなげられるためには、報道の皆様のお力添えが不可欠ですので、本年も引き続き、気象台へのご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本年も、地域の皆様にとって安心・安全な一年となりますよう、心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和8年1月15日
仙台管区気象台長 鎌谷 紀子(かまや のりこ)
新しい防災気象情報
