「アイー アイー」

当時住所:三岐田町田井(現:美波町)

 当時20歳で、7月に呉の海兵隊に入隊して3ヶ月で復員して、50歳ぐらいの母親とふたりで暮らしていた。 地震は、昭和21年だったか昭和22年だったと思う。 その日はもう起きていたので庭にでた。

 地震の揺れは長かった。 こんな地震はこれまで経験がなかった。 余震が長期間続いた。 恐ろしいとは思わなかったが、気色悪かった。

 地震が起きた際に停電しており、母親は地震を追い払うための意味の言葉である「アイーアイー」と叫んでいた。

 線路を越えて津波が来た。 土手も越えて来た。 ひ門を綱でつないで引っ張って、津波の進入を防いだ。

 津波はザーとふくれて来た。 津波で木などが流れてきた。 津波はドーと音をたてて来た。

 人は、どこぞに集まっていたのだろう。 町は、畳などが流れており気の毒で目を開けて見られないくらいだった。 消防団に入っていたので、私と他の3人で津波で浸かった沿岸部の池の水が防火用水に使えないので、 水を変えるのが地震後の仕事で1週間程度続いただろうか。