富山県の気象

気象特性

 富山県の気候は日本海側気候に属する。冬季の季節風による多量の降雪を始めとして、県内で生じる顕著な現象には以下のものがある。


【豪雪】

当県の山地は世界でも有数の豪雪地帯である。
猪谷地域雨量観測所では、最深積雪262㎝(1984.2.10)を記録している。


富山市の降雪と積雪の記録

累年降雪量

累年の最深積雪

【気温】

平年値は年平均気温が14.5℃、1月の月平均気温が3.0℃、8月の月平均気温が26.9℃。 (参考:年平均気温)東京15.8℃


富山市の気温の平年値と記録

月別気温(平年値)

年・1月・8月の経年変化

【降水量】

年降水量は2,374.2ミリ(平年値)で、夏季に比べて冬季に比較的多い。(参考:年降水量)東京1,598.2ミリ


富山市の降水量の平年値と記録

月別降水量(平年値)

累年の年降水量

【フェーン現象】

台風や発達した低気圧が日本海を通過する際など、南風が強まりやすい気圧配置では顕著なフェーン現象がみられる。過去にはフェーン現象の影響もあって、伏木で日最高気温39.7度(1994.8.14)、上市で日最低気温30.2度(1997.8.9)を記録している。


【寄り回り波】

主に冬季、北海道の西海上で北よりの暴風に伴って発生した高波(風浪)がうねりとして南へ伝わり、富山湾特有の海底地形の影響で「寄り回り波」と呼ばれる高波が発生することがある。この高波は、冬型気圧配置による日本海の風波のピークを過ぎた後に発生することが多く、沿岸の人々からおそれられ、被害も出ている。

寄り回り波については、こちらをご覧ください


【蜃気楼】

4~5月頃と11~3月頃、気象条件が整えば、富山湾で「蜃気楼」を見ることができる。


四季の気象と社会的な影響

【春季】(3月~5月)

チューリップ

高気圧と低気圧が交互に日本付近を通過するようになる。高気圧に覆われたうららかな日には、桜や県花チューリップが咲き誇り、立山黒部アルペンルートが開通し、ホタルイカ漁や蜃気楼を見ることができる。豊富な雪解け水を活かしたコシヒカリ等の田植えが最盛期を迎える。
一方で、低気圧が発達しながら日本海を通ることが多くなる。通過時には県内ほぼ全域で強風が吹き荒れ、フェ-ン現象による気温の上昇と空気の乾燥、雪解けに伴う出水、雪崩等の発生がみられる。県内の過去の大火、気温上昇による雪崩はこの時季に多く発生している。


【夏季】(6月~8月)

積乱雲

梅雨期の前半は比較的穏やかな天気が続くが、後半は梅雨前線の北上に伴って大雨が降ることが多くなる。特に、いったん日本海に北上した前線がゆっくり南下する際は、洪水やがけ崩れ等の大雨災害が発生しやすい。
梅雨明け後は晴れて蒸し暑い日が続く。海・山に近くアクセスが容易なため、多くの観光客等で賑わう。ただし、午後からは山沿いや海岸で度々雷雨が発生するので、注意を要する。


【秋季】(9月~11月)

紅葉

移動性高気圧に覆われ爽やかな晴れの日が多くなる。立山山麓をはじめとして、県内のあちらこちらで鮮やかな紅葉が楽しめる。コシヒカリ等の収穫時期である。
一方で、日本海を南下する前線や大型台風等の影響を受け、曇りや雨のぐずついた天気となることもある。晩秋には、大陸から寒気が流入するようになり、山岳部では降雪が始まる。平地では肌寒いしぐれ模様の天気が現れ、冬の到来を感じさせるようになる。多くの観光客で賑わった立山黒部アルペンルートもシーズン終了となる。


【冬季】(12月~2月)

雪景色

冬型の気圧配置になることが多く、上空に強い寒気が流れ込むと降雪が強まり、大雪が降ることがある。また、「鰤(ぶり) 起こし」と呼ばれる雷が発生し、落雷の被害も少なくない。海上では季節風が強く、波の高い日が続く。富山湾特有の「寄り回り 波」が沿岸に打ち寄せることもある。
晴れの日の青空と白銀のコントラストはこの上なく美しい。寒ブリの美味しい時期である。スキー場も賑わう一方で、風・波に伴 う海上災害や大雪に対する警戒は欠かせない。