南海トラフ地震のページ

南海トラフ地震とは

 三重県の熊野灘沖合の海底には、陸側のユーラシアプレートの下に海側のフィリピン海プレートが沈み込むことによってできた、溝状の地形「南海トラフ」が東西に広くのびています。この南海トラフ沿いではプレートの沈み込みによって、常にひずみが蓄積されていて、概ね100~150年の間隔で 大地震や津波災害が繰り返し発生していることが古文書等の記録からわかっています。

 近年でも昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(1946年)が発生しています。特に東南海地震では三重県内では震度5~6相当の強い揺れがあったとされ、その5~15分後には三重県南部の沿岸では6~9メートルの津波に見舞われ、多大な被害が発生しました。これらの地震から70年以上が経過し、南海トラフ地震の今後30年内の発生確率は70~80%、今後40年では90%程度(令和4年1月現在)と南海トラフ地震発生の危機は刻々と高まっています。

昭和東南海地震(1944年)による災害

旧尾鷲町における津波被害の写真

旧桑名市外における揖斐川堤防決壊の写真

出典:東南海大地震調査概報(中央気象台)

南海トラフ地震臨時情報

 南海トラフ地震の想定震源域内やその周辺で大規模地震(M6.8以上)やプレート境界面で通常とは異なるゆっくりすべり等が観測された場合には、気象庁は南海トラフ地震臨時情報(調査中)を発表し、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」を開催して発生現象に対する検討を行います。想定震源域のプレート境界でモーメントマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価した場合は、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)を発表し、後発地震にも備えます。また、想定震源域やその周辺でモーメントマグニチュード7.0以上8.0未満の地震が発生したと評価した場合や、想定震源域のプレート境界で通常と異なるゆっくりとしたすべりが発生したと評価した場合は、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表します。なお、「巨大地震警戒」「巨大地震注意」のいずれにもあてはまる現象でないと評価した場合には、巨大地震の発生可能性がただちに高まっている状態ではないとして、南海トラフ地震臨時情報(調査終了)を発表します。

 三重県は、全市町が南海トラフ地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれのある『南海トラフ地震防災対策推進地域』に指定されています。津市、四日市市、伊勢市、松阪市、鈴鹿市、尾鷲市、鳥羽市、熊野市、志摩市、川越町、明和町、大紀町、南伊勢町、紀北町、御浜町、紀宝町の16市町が、特に著しい津波災害が生ずるおそれがある『南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域』に指定されています。想定される最大規模の南海トラフ地震(M9.1)が発生した場合、県内での最大の津波の高さは鳥羽市で27mが想定されています。また、県内で最も早く津波が到達するのは尾鷲市と熊野市で、地震発生から4分後に1mの高さの津波(←最大の高さではないことに注意)が到達すると想定されています。

防災対応について

 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表された場合、地震発生から7日間にM8クラスの後発地震が発生する確率は十数回に1度となり、津波から避難が間に合わない一部の地域(事前避難対象地域)では引き続き一週間は避難を継続します。また、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)では、M7以上の地震発生後7日間にM8クラスの後発地震が発生する確率は数百回に1度ですが、前震である可能性もあり一週間は日頃からの地震への備えを再確認するなどの防災対応を行います(必要に応じて自主避難)。「ゆっくりすべり」の発生を評価しての南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)では、すべりの変化の収束後、変化していた期間と同程度の期間、地震への備えを再確認するなどの防災対応を行います

※M:モーメントマグニチュード

オンライン出前講座

 こちらは、津地方気象台で行っている南海トラフ地震に関する出前講座の動画版です。各セクションに分かれていますので、ぜひ自治会や学校(中学生以上向き)、職場等でご活用ください。

アーカイブズ

参考

地震・津波に関する一般知識