和歌山県及び周辺の特徴的な地震

和歌山県北部の浅い場所で発生する地震

 和歌山市付近では定常的に地震活動が活発です。ほとんどがM5程度以下の中小規模の地震ですが、震度1以上を観測する地震も多いです。
 近年この地域に大規模な地震の発生は知られていないので、この地震活動は特定の大地震の余震ではありません。その規模は最大でもM5程度ですが、震源がごく浅いために、局所的に被害が生じたこともあります※。この付近の東側と西側では、フィリピン海プレートの沈み込む角度が違い、この付近の地下構造は複雑になっており、この付近の深さ数kmまでの浅いところは、堅いけれども脆い性質を持つ古い時代の岩石が分布しています。これらのことが、和歌山市付近の定常的な地震活動の原因と考えられています。また、地震が発生する深さは数kmよりも浅いところに限られており、上記の岩石が分布している深さで発生していると考えられます。
 なお、この地震活動が発生している地域の北部には中央構造線断層帯があります。その活動を起こす力の向きは、和歌山市付近の地震活動(東西方向の圧縮力)と中央構造線断層帯の活動(北西-南東方向の圧縮力)では異なっていますが、両者の関係についてまだはっきりとは分かっていません。
(地震調査委研究推進本部「日本の地震活動」より)

 *平成18年5月15日 和歌山県北部の地震
  和歌山市で、重傷者1名、ブロック塀倒壊1件、ガラス破損2件(総務省消防庁による)

浅い地震の分布図

震央分布図及び青矩形内の断面図
1997年10月1日~2021年12月31日
深さ0~20km、M≧1.0



南海トラフ地震

 南海トラフ地震は、概ね100~150年間隔で繰り返し発生している大規模地震で、地震動および津波による大きな被害が起きています。
 南海トラフ地震の過去事例を見てみると、宝永地震(1707年)のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生した時もあれば、安政東海地震や安政南海地震のように隣接する領域で時差をおいて発生した時もあります。
 また、隣接する領域で時間差をおいて発生した事例では、安政東海地震(1854年)の32時間後に安政南海地震(1854年)が発生した時もあれば、昭和東南海地震(1944年)の2年後に昭和南海地震(1946年)が発生した時もあり、その時間差も様々です。  このように発生過程に多様性があります。
 前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))が発生してから75年以上が経過し、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まってきています。

過去の南海トラフ地震の時空間分布

過去に発生した南海トラフ地震の震源域の時空間分布図
出典:「南海トラフ地震活動の長期評価(第二版)」
(地震調査研究推進本部)