活かしていますか?東日本台風の教訓

特別警報のことをもっと理解していれば…

特別警報の解除が安心情報になった?

 東日本の広範囲に大雨特別警報を発表しましたが、その解除によって避難先に戻った方が3割程度いました。

これは、大雨特別警報の解除が安心情報と誤解された可能性があります。

図1 「台風第19号等を受けたアンケート調査(Web)

図1 「台風第19号等を受けたアンケート調査(Web)」結果より集計(回答数は2100のうち台風第19号時に何らかの避難行動を実際にとった300)

R2.1.14 防災気象情報の伝え方に関する検討会(第5回)「資料2 令和元年出水期において明らかとなった課題」(気象庁)より抜粋

特別警報から1時間後に氾濫危険水位に

 こちらは利根川の上流と下流の地点における水位変化です。上流の八斗島(やったじま)で見ると、特別警報が出た期間が高くなっています。

その後、特別警報が解除されたあと、下流の横利根(よことね)で氾濫危険水位を超えたのは、実に16時間あとでした。

図2 利根川における水位変化

図2 利根川における水位変化

R2.1.14 防災気象情報の伝え方に関する検討会(第5回)「資料2 令和元年出水期において明らかとなった課題」(気象庁)より抜粋し加工

特別警報解除後の警戒の呼びかけの改善

 大雨特別警報解除後も、洪水への警戒を促すため、特別警報の「解除」を「警報への切替」と表現するとともに、警報への切替に合わせて、最高水位の見込みや最高水位となる時間帯などの今後の洪水の見込みを発表するようにしました。また、本省庁の合同記者会見等を開催することにしました。

警戒の呼びかけ

R2.12.9 防災気象情報の伝え方に関する検討会「資料1 防災気象情報の伝え方の改善に関する取組状況」(気象庁)より抜粋

台風接近の最中に避難している人が多い?

 こちらは避難者がいつ避難したかを確認したアンケート調査になります。台風が接近する当日、まさに大雨特別警報が発表されている最中に避難している方も見られました。そして、18時以降など夜になってから避難する方もいました。 特別警報は危険が切迫しているときに発表される最後の情報です。このようなときに避難をするのは危険です。このようになる前に、安全な場所に避難することが重要です。

図3 住民向けアンケート結果

図3 住民向けアンケート結果(台風第19号により人的被害が生じた市町村のウェブモニター:n=253)

R2.2.5令和元年台風第19号による災害からの避難に関するワーキンググループ(第2回)資料5(内閣府)より抜粋

特別警報を待ってはならないことを呼びかける改善

 気象庁では、「特別警報を待ってから最善を尽くせば助かる」かのような印象を回避するため、「特別警報を待ってから避難するのでは命に係わる事態になる」という手遅れ感が確実に伝わるよう会見や情報で表現するよう改善しました。気象庁の会見だけでなく、テレビなどの報道や地元の気象台からの情報などでも同様に行っています。

気象庁記者会見

R2.12.9 防災気象情報の伝え方に関する検討会「資料1 防災気象情報の伝え方に関する取り組み状況」(気象庁)より抜粋

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