1994年7・8月の全国的な高温・少雨・多照

 1994年7・8月は全国的に高温・少雨・多照となりました(図10-1)。九州北部地方は、勢力の強い高気圧におおわれ厳しい暑さが続き、福岡県を中心に給水制限が実施されるなど渇水の影響も大きくなりました(図10-2)。各地で「月平均気温の高い」「月降水量の少ない」「月間日照時間の多い」記録を更新しました。
 九州北部地方の1994年7月は、平均気温は平年と比べて+2.2℃、降水量は平年と比べて19%、日照時間は平年と比べて175%となり、統計を開始した1946年以降でそれぞれ高い方からの記録第1位、少ない方からの記録第3位、多い方からの記録第1位となりました。 8月は、平均気温は+1.3℃、降水量は28%、日照時間は135%となり、それぞれ高い方からの記録第3位、少ない方からの記録第2位、多い方からの記録第1位となりました(統計期間は1946年から2014年の7・8月)。

図10-1

図10-1 1994年7~8月の分布図
(気温平年差・降水量平年比・日照時間平年比)
図10-2
図10-2 1994年7~8月の九州北部地方における日別の
気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の時系列

 全国的に高温・少雨・多照となった要因は次の通り考えられます(図10-3)。フィリピン付近の積雲対流活動が活発であった影響で、日本の南東海上の対流圏下層に広がる太平洋高気圧が西に張り出して、日本を覆いました。また、北半球の夏季のユーラシア大陸を中心に対流圏上層に広がるチベット高気圧が日本周辺まで張り出しました。それにより、日本付近を流れる上空の偏西風が平年よりも北寄りを流れ、梅雨前線が平年より早く北上し、少雨となりました。その後上層から下層にかけて日本付近で高気圧が強まり、全国的に高温・多照となりました。

図10-3

図10-3 1994年盛夏期の大気の概念図

さらに詳細な解説

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