覚えていますか?東日本台風の記録
過去最大の台風だったのか?
さて、東日本台風による被害は過去最大だったのでしょうか。
日本に大きな被害を与えた台風
この表は、日本に大きな被害を与えた台風の被害を示したものです。
※ 昭和に死者・行方不明者数が1,000人を超えたものと、平成になってから死者・行方不明者数が40人を超えたものを取り上げたものです。
地球温暖化により、大雨の頻度が近年増えていると言われていますが、昭和の時期に比べると、大きな被害は減っています。
なぜ減っているのかというのを一言で示すのは難しいのですが、伊勢湾台風のあとの、昭和37年にできた「災害対策基本法」の制定が大きいと言えます。
この法律で、我が国の災害対策における防災行政の責任が明確化され、総合的かつ計画的な防災行政の推進が行われるようになり、その後、ハードとソフトの両面において災害対策が進んできました。
近年の台風被害では、東日本台風は大きな災害だったと言えます。
日本に大きな被害を与えた台風の被害

過去の台風と比較しても災害規模が大きい
こちらは、過去の台風による被害を縦軸に死者行方不明者を、横軸に住家被害としてプロットしたもので、右上にいくほど、記録的な災害をもたらした台風と言えます。
青丸は伊勢湾台風以前の昭和前期です。全体的に被害が大きいです。
黄色丸は、災害対策基本法が出来たあとの昭和後期です。青丸に比べると、全体的に被害が少なくなっています。
赤丸は、平成に入ってからのものです。やはり減っているように見えますが、所々、被害が大きいものも見られます。
東日本台風は過去の台風と比較しても、災害規模が大きな台風だったと言えます。
図1 1951年以降の台風の死者・行方不明者数と住家被害数(※1951年より前の命名台風も追加)
「デジタル台風HPの台風被害データベース」(情報・システム研究機構 国立情報学研究所)から台風被害リストのデータおよび「理科年表」をもとに作成
カスリーン台風との東日本台風の比較
埼玉県に多くの被害をもたらした台風として、カスリーン台風があります。雨量分布をみると、秩父地方など関東の西側の山地に多く雨が降るなど降水の分布が概ね似ています。
ただし、被害を見ると、人的被害は10倍以上違い、浸水被害もカスリーン台風のほうが桁違いです。河川や住家のハード対策や、気象衛星やレーダーの発達、報道やSNSなどのソフトの力により被害が抑えられたのだと考えられます。


図2 カスリーン台風と東日本台風の被害と降水量の比較
「令和元年東日本台風による大雨の気候学的評価」(藤部他)、「埼玉県地域防災計画[資料編]<第3編 風水害編>」(埼玉県庁HP)などより抜粋
前へ どのような被害があった? |
戻る 令和元年東日本台風トップページ |
次へ 気象庁はどう立ち向かったのか? |