2011年1月の九州北部地方の低温・少雨

 全国的に1986年以来の低温となり、日本海側の各地で大雪がもたらされましたが、太平洋側では少雨となりました(図11-1)。九州北部地方は、前年末から大雨・大雪が1月4日まで続くところがありましたが、1か月平均で見ると、曇る日が多く、気温はかなり低く、降水量はかなり少なくなりました(図11-2)。
 地上気象観測地点ごとの、1月の平均気温の低温記録第2・3位となった地点が九州北部地方各県に8か所あり、1月の降水量の少ない方からの記録第1位を更新した地点が長崎県と熊本県に7か所ありました(これらの記録は、2015年2月現在も変わっていません)。 また、九州北部地方の2011年1月は、平均気温は低い方からの記録第3位、降水量は少ない方からの記録第4位となりました(統計期間は1946年から2015年の1月)。


図11-1
図11-1 2011年1月の分布図
気温平年差・降水量平年比・日照時間平年比)
図11-2
図11-2 2010年12月下旬~2011年1月の福岡における日別の気温平年差、降水量(mm)、日照時間(hour)の時系列

≪低温の要因≫
 シベリア高気圧とアリューシャン低気圧が共に強く、強い冬型の気圧配置が続きました(図11-3,4)。そのため、日本付近には、平年より強い北西風が吹き、断続的に強い寒気が流れ込みました。
≪少雨の要因≫
 九州北部(福岡)において冬型の気圧配置が卓越した場合には、他の日本海側の地域と異なり少雨となる傾向があります。理由として、【コラム1】で述べたように寒気を伴なう北西からの季節風が暖かい海面に触れる距離(吹走距離)が短いため、雲は多いものの降水量は少なくなります。
 2011年1月は、平年に比べて冬型の気圧配置が強く北よりの風が卓越していたため、平年よりもその影響が顕著に現れています。 また、4日までは九州南岸を通過した低気圧の影響で雨や雪が降りましたが(図11-2)、それ以降は低気圧の影響をほとんど受けませんでした。

図11-3
図11-3 2011年1月の対流圏下層大気の概念図
※黒色矢印は下層大気の大まかな流れを表す
図11-4
図11-4 2011年1月の海面気圧(hPa)の分布
等値線は月平均の気圧値(hPa)、色は平年偏差

※海面気圧は観測・解析された地上気圧を海面更正した気圧

さらに詳細な解説

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