天気図とは、気象現象を把握するために、各地で観測された天気、気圧などの値を、等圧線や様々な記号を用いて地図上に表した図のことです。これにより、大気の状態を視覚的に理解でき、日々の天気予報や気象解析に活用されています。天気図は、気圧配置や前線の位置、低気圧・高気圧の動きなどを示すことで、天気の変化を予測する重要な手がかりとなります。
ドイツ人のクニッピング(E. Knipping)によって、明治16(1883)年2月16日に日本初の天気図が作られ、同年3月1日からは毎日の天気図の印刷配布が始まりました。当時は、電報により収集した実況観測値を紙の地図に手描きで記入し、手描きで等圧線等を解析するものでした。現在では天気図解析システムの導入により、数値予報モデルの等圧線を原型とし、実況観測値などに合わせて等圧線に修正を加えつつ高気圧や低気圧、前線を解析するような作業形態に変わりました。その結果手作業の負担が軽減され、その後の「速報天気図」やデジタルデータの提供などにつながりました。詳しくは「気象業務の歴史」のページをご覧ください。
天気図には様々な種類があり、下図に示しているのは日本周辺域の実況天気図です。他にもアジア太平洋域の実況天気図、予想天気図、高層天気図などがあり、気象庁ホームページから確認することができます。詳しくは「天気図について」のページをご覧ください。
春は、日本付近を移動性高気圧や低気圧が交互に西から東へと通過し、天気は数日の周期で変わります。気温の変化も大きく、低気圧の東側では南からの暖かい空気が流れ込むため、気温は上昇しますが、低気圧の西側では、北からの冷たい空気が流れ込むため、気温は下降します。
下図は令和7年4月上旬の日本周辺域の実況天気図です。4日9時の天気図では東シナ海に中心を持つ高気圧が見られますが、5日9時にはその高気圧が日本付近を広く覆い、6日9時には日本の東へと移動しています。高気圧の後面には低気圧や次の高気圧が西から近づいており、春特有の数日周期の天気変化が確認できます。
晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる期間を梅雨といいます。梅雨の時期になると、南から暖かく湿った空気を持つ太平洋高気圧が張り出してきて、北にある冷たい空気を持つオホーツク海高気圧とぶつかり梅雨前線が形成されます。
令和7年6月23日9時の天気図を見ると、北日本から華中にかけて梅雨前線が停滞していることがわかり、衛星画像で前線に対応した雲が広がっていることが確認できます。
梅雨前線が停滞あるいは梅雨前線上に低気圧が発生し、西日本から接近してくる場合や、南海上からは台風などが北上する場合、大雨となることがあります。
太平洋高気圧が徐々に強くなってくると、梅雨前線は北へ押し上げられて梅雨明けとなります。
梅雨明け後、日本付近は太平洋高気圧に覆われ、南高北低型の気圧配置となります。夏の太平洋高気圧は非常に背が高く、広範囲で晴天をもたらしますが、気温の上昇により不安定な降水が発生することもあります。
太平洋高気圧の勢力は強まったり弱まったりします。勢力が強いときは晴天が続きますが、弱まって太平洋高気圧の縁に入ると、湿った空気が流入し、蒸し暑く天気が崩れやすくなります。
下図の天気図では、日本列島が太平洋高気圧に覆われている様子が示されています。高気圧の中心は太平洋上にあり、日本付近まで張り出しているため、広い範囲で晴天となります。衛星写真では、日本列島周辺に雲が少なく、太平洋高気圧の影響で安定した晴天が広がっていることがわかります。ただし、内陸部や山沿いでは、強い日射による対流活動で積乱雲が発生し、局地的な雷雨となる場合があります。
初秋には、「秋りん」や「秋雨」、「秋の長雨」と呼ばれるようなぐずついた天気になります。これは、夏の太平洋高気圧が勢力を弱め、大陸から冷涼な移動性高気圧が張り出してくることで、二つの高気圧の間に秋雨前線が形成されるからです。初秋は台風が多い季節でもあり、秋雨前線が停滞しているときに台風が接近すると、秋雨前線が刺激されて広い範囲で大雨になることがあります。
秋が深まってくると、太平洋高気圧は南の海上へ後退していき、移動性高気圧が帯状に大きく連なり、広い範囲で秋晴れが続くようになります。
冬になると、海洋に比べて陸地は熱しやすく冷えやすいため、シベリアでは急速に冷却が進み、シベリア高気圧が形成されます。一方、海洋は温度変化が緩やかなので、冬季でも日本海の水温は概ね10℃前後と比較的高く保たれています。このため、日本海側では冷たい季節風が海上を通過する際に水蒸気を多く含み、雪雲を発達させる要因となります。
日本の東海上に低気圧が発生すると、下図の天気図のように日本付近は西側に高気圧、東側に低気圧という「西高東低の気圧配置」になります。等圧線が南北に走り、間隔が狭いのが特徴で、北西の季節風が吹き、シベリアからの寒気を運んできます。この冷たい季節風が山に当たって上昇気流となり雲が発生するため、日本海側では雪の日が多く、山沿いを中心に3mを超す積雪となる所もあります。一方で、太平洋側では山から吹き下ろす乾いた風となり、晴れの日が多くなります。
冬型の気圧配置時の衛星写真では、日本海上に「筋状の雲」が見られます。これは、冷たい季節風が比較的暖かい日本海を渡る際に水蒸気を補給し、対流が活発化することで形成されます。雲列は風向きに沿って並び、日本海側に雪をもたらす典型的な現象です。
1998年の冬、長野オリンピックが開催されました。2月17日に白馬ジャンプ競技場で行われたスキージャンプのラージヒル団体戦では、吹雪のなかジャンプを成功させて日本が逆転優勝しました。
当時の天気図を確認すると、中国東北区に中心を持つ高気圧があり、日本の東には低気圧があって、日本付近は等圧線が縦に並んだ西高東低の気圧配置になっていることが分かります。